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初心者のための香水講座 第4回:香水ブランドと香りの歴史



香水

 

調香師は、音楽をイメージして、いろいろな香水を作り上げました。
音楽をイメージした香水には次のようなものがあります。

 
モーツァルトは、バラですね。華麗で見事で素晴らしい。しかも、その中には、しっかりとトゲが隠されている。
バッハの緻密な重厚さは、香りで言えば龍涎香のイメージです。
ベートーベンは、麝香のイメージ。
[ダナ]の〈タブー〉。情熱的なバイオリンの音色のイメージです。
[キャロン]の〈ノクチューン〉。夜の大人のパーティーの香水です。
[イヴ・サンローラン]の〈ジャズ〉。何も言うことはありません。

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旅行と香水

山の彼方、水平線の向こうに幸いを探して、人は旅に出ます。
異国で、飛行機から降りてコンコースを歩いていると、香水の大きな看板があります。ああ異国へ着いたな、と思う瞬間です。
旅行や土地の名前をイメージした香水には次のようなものがあります。
[ランコム]の〈シッキム〉。ヒマラヤにある王国です。
[キャロン]の〈ベロージャ〉。イタリアにある湖です。
[ニナ・リッチ]の〈フィアレス〉。小説『80日間世界一周』の主人公の名前です。

 

 

香りを身につけて・香りのある住まい

しっかりとシャワーを浴びて香水をつけて、口臭をしっかりと予防して、というようなことに気を使うのは大切なことです。でも、その一方で、自分の家のにおいに無頓着、では困ります。
友人や恋人を招待したり、家族とゆっくりくつろいだり、自分ひとりの時間を楽しんだり、などなど。住まいは大切な空間です。香りを上手に使って、快適な空間をつくりましょう。

 

玄関

住まいへの入り口で、最初に住まいのにおいを感じる場所です。来客が「来てよかった」と思い、自分自身が「ああ、帰ってきた」と感じるような香りが欲しいですね。
フレッシュな香りがいいでしょう。

 
それよりも何よりも、靴のにおいが問題です。
下駄箱に脱臭剤や除湿剤を入れ、靴のにおいを取りましょう。

 
ちなみに、靴のにおいは足のにおいにつながります。
足のにおいを取るには、カミツレの石けんで足を洗い、クエン酸溶液ですすいで、制汗パウダーをつけましょう。

 

リビングルーム

朝は、柑橘系の香り。さわやかに目覚める効果があります。
昼は、グリーン・ノートの香り。健康的で明るい香りです。もちろん、新鮮な空気を入れましょう。
夜は、フローラルの香り。リラックスする効果があります。

 

トイレット

さわやかな柑橘系の香りがいいでしょう。
でも、うっかりすると、柑橘系の匂い・イコール・トイレのにおい、ということにもなりかねません。
やはり、いつも清潔にして換気をよくするのが第一です。
香料ではなく、レモンそのものを置くのも、よいアイデアです。レモンには消臭効果があるのです。

 

寝室

アロマテラピーの研究では、ラベンダーの香りに安眠効果がある、とされています。
でも、眠りには多分に心理的なものがあります。自分が、これが好きだ、これなら落ち着く、と思う香りを使うのがいいでしょう。

 

 

香りをよく知って・ブランド(その1)

香水は芸術作品です。さまざまな香りをブレンドして香水を創り上げた調香師。天才肌の調香師もいれば努力家の調香師もいます。芸術の創作に携わった人々には、多くのエピソードがあります。
そして、調香師を支えた会社。調香師がその才能を発揮するには、よい環境が必要です。芸術の創作を支える環境を提供した会社にも、多くのエピソードがあります。
有名なブランドには、有名になるだけの理由も魅力も、そして歴史もあるのです。

 

ジャン・デプレ

ジャン・デプレは、1904年に、フランスで生まれました。
有名な香水の会社の[グラース]で勉強し、〈クレープ・デシーヌ〉を発表しました。オリエント調のフローラル・ブレンドです。
これの成功で、自分の名前を付けた会社を興したのです。
彼が生まれた家には、バラが咲き誇る広い庭がありました。1974年に世を去るとき、枕元にはバラが置いてあったそうです。

 

コティー

フランソワ・コティーは、1876年、コルシカ島で生まれました。
20歳代のころ、薬剤師の友人のところでオーデコロンを作りました。これがきっかけで、化学と香料を勉強し、香水を販売したのです。
[コティー]の最初の香水は〈ローズ・ジャクミノ〉です。
コティーは、〈ローズ・ジャクミノ〉をデパートに売り込みに行きました。でも、店員は、相手にしてくれません。短気なコティーは、香水のビンを床に投げつけました。香水が飛び散ります。その香りに、デパート中の客が集まったそうです。
単に、デパートの店員が、誤ってビンを落としただけ、という説もありますが。
しかし、そんなに簡単に割れるビンに入っていたのでしょうか。

 

資生堂

明治5年、福原有信が銀座に開いた調剤薬局が[資生堂]の始まりです。大正6年に白粉を販売し、その後、〈勿忘草〉、〈藤の花〉などの香水を発売しました。〈禅〉、〈沙棗〉、〈琴〉などは、日本人の感性でなければ作れない香りです。
ちなみに[資生堂]の名前は、『易経』の
至哉坤元(至れるかな坤元)
万物資生(万物、資りて生ず)
(地の徳は、何と優れていることであろう、万物はこれから生まれるのだ)
から付けられたものです。

 

キャロン

1904年、若い調香師のエルネスト・ダルトロフが、パリのオペラ座の近くに開いた店が[キャロン]の原点です。
彼の香水は「キャロン・トーン」と呼ばれ、世界中の女性を熱狂させました。
〈ナルシス・ノアール〉、〈アンフィニ〉、〈ノクチューン〉など、個性的な香水がたくさんあります。

 

4711

18世紀初頭、イタリア人のヨハン・マリア・ファリナがオーデコロンを発明しました。
そして、18世紀の終わり頃。ドイツのケルンの銀行家ウィルヘルム・ミューレンスの結婚式を行った牧師が、結婚祝いとして、彼にオーデコロンの処方を教えました。その牧師は、ヨハン・マリア・ファリナの子孫だったのです。
ウィルヘルム・ミューレンスは、この処方でオーデコロンを作り売り出したのです。

 
ちょうどその頃、ナポレオンがケルン市を占領し、区画整理のため、家々に番号を付けました。そして、ウィルヘルム・ミューレンスの家が4711番地だったのです。
[4711]のオリジナルのオーデコロンが〈4711〉です。

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