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ヨガインストラクター「及川彩様」インタビュー



ある日、ヨガのチラシが入っているポケットティッシュを手にしました。

そのチラシにはノビノビとポーズをとっている女性がプリントされていました。
ヨガインストラクター「及川彩様」インタビュー
この人にインタビューをしてみたい。そう思い、その日のうちに連絡をとり、快くインタビューを引き受けてくださいました。

想像していた通りのパワフルでハキハキした女性が目の前で話してくださった時間は、日頃の垢を洗い流してくれるようでとても心地の良いものでした。
インタビューの場所は、及川さんがインストラクターをしておられるスタジオで行われ、スタジオを貸してくださったオーナーの石垣英俊院長にも深く感謝しながらも、快適なスタジオにすっかり安心してリラックスしてしまいました。

もっともっとお話を伺いたいと思いましたが、まずは初日のインタビューをご拝読ください。

及川 彩さん
神楽坂ホリスティック・クーラ アクティブケアスタジオ ヨガインストラクター
http://www.holistic-cura.net/
インタビュアー:りく
場所:神楽坂ホリスティック・クーラ アクティブケアスタジオ


「及川彩様」インタビュー


りく:ヨガインストラクターをここで始めたきっかけを教えてください。

及川:前職の会社が近かったので、当時からこの場所は知っていたんです。それでインストラクター養成校に通っているときに募集を見て、応募したんですが、当時は経験不足で落ちてしまったんです。それから1年ほど経って、去年の7月にまた募集を見かけたので、再チャレンジして、今に至ります。


りく:その間、他のスタジオは受けていらっしゃらないんですか?

及川:他のところも受けました。
でも、ここがだめならこっちという感じでは受けていなくて、少人数制に惹かれていましたし。実は、大手ホットヨガスタジオでデビューした方が良いのかと考えたこともありましたが、大人数ですし、決められたシークエンスをやるよりも、目の前に居る方の状態をみて、その時にあったレッスンをしてさしあげるほうが、ヨガという「今の本来の自分を見つけていく」という趣旨にはあっているなと思いました。ですので、このスタジオにはずっと片思いをしていたんです。
あとは、面接をしてくださった方が、マイ先生という方で、その方がとてもすてきな方で、この人が居るところで働きたいなと思ったんです。昨年ご結婚され、石垣島でご主人の経営するカフェを一緒に盛り上げていらっしゃるとか。


りく:ここのレッスンの内容を教えていただけますか?

及川:ベースはハタヨガです。
リラックスは、道具を使ったりします。
アロマヨガは、季節にあわせたアロマをたいて行います。呼吸が深まり、ゆったりとアーサナをとることができるようになります。
フローヨガは、太陽礼拝をベースに発展させてアクティブに動きます。一般的にパワーヨガと言われるものに近いと思ってもらえれば。
あとは、ピラティスです。


りく:それらすべてを及川さんが教えてらっしゃるんですか?

及川:いいえ、私はハタヨガベーシックと、フローヨガ、今月からヨガビギナーを始めました。
ビギナーのクラスは、ヨガ哲学の話を最初に入れたりしています。身体を動かすだけがヨガではないので、教えを取り入れながら、一般的な出来事と、あわせながらお話していってます。


りく:ヨガとの距離感が縮まりそうですね。

及川:そうですね。
名前はビギナーですが、高齢の方に来ていただいても良いと思います。ヨガを年単位でやっている方でも、実はあまり哲学とかは知らなかったりしますから、おすすめですね。


りく:どんなお話をされるんですか?

及川:今日のクラスの生徒さんにお話した内容なんですけど、特に今日のクラスにいらした生徒さん同士はとても仲が良くて、レッスン前のおしゃべりが多かったんです。
それがあまりお好きでない方もいらっしゃいますので、そのことについてお話しました。

他のスタジオでのルールや、ここのルールについての違いについてなんですけど、他ではおしゃべりを禁止しているところもあるんですよーということから始まって、いわゆる一般的なヨガスタジオで当たり前とされているルールについてお話をしました。

このスタジオでは、ご近所にお住まいの方も多いので、なんとなくワイワイとなる傾向が当たり前のようになるときがあって。でも、その当たり前は一歩外に出ると当たり前ではなくなるということが言いたかったんです。

その話の延長で、それこそ朝起きて、ご飯を食べて、歩いて、お話して、っていうことを当たり前だと思っているけれど、それは決して当たり前ではなくて、それが明日も起こるとは限らないし、一年後、数年後、全然変わっているかもしれない。

そういう時に、自分が思っている当たり前100が、100とちょっと外れたときに、慌てふためいて混乱してしまうから、当たり前を持っているのは良いけれども、ちょっと器を広げて、100にもう少し余裕があれば、それ以外のことが起こってしまっ

ても、受け入れたり、受け流したりできるよね、という話になりました。
話している間に、お二方ほど、涙を流しておられました。

ヨガの教えも、とくにマインドの部分は、今後お伝えてしていきたいなと思っています。

ビギナーヨガで、入り口に立ち戻ってみると、ヨガの捉え方とか、感じ方が変わってくるので、初心者さんにも来ていただきたいですけど、実はあまり知らないこともあるなと思っている方にも来ていただきたいです。
初心にかえるということですね。


りく:日常的にヨガを行っておられるんですか?

及川:今、このスタジオでは週三日クラスを持たせていただいているのですが、その三日とも朝8時半からなんです。
私は必ず朝ご飯を食べてから活動するタイプなので、火曜、木曜、土曜は6時前に起きて、30分くらい身体を動かすようにしています。スーリヤナマスカーラを2-3回でも、やるとやらないでは全然違います。
レッスンで自分もアーサナをとりますけど、インストラクションしながらですし、生徒さんのことをきちんと見たいので、自分がアーサナの練習をするのは、朝の30分くらいです。少ないですね。
休日は、一般のヨガのレッスンを受けに行っています。
自分自身の練習と、クラスに活かせるエッセンスをもらいに・・・
クランティ先生と、吉田友子先生のところに行ってます。


りく:まったくヨガのレッスンの入っていない日はどう過ごしておられますか?

及川:家に居ると、マットを広げて、まだマスターできていないアーサナの練習をしたり、色々な教本を引っ張り出したり、受けて楽しかったレッスンを自分流にアレンジしてみたりしています。これまでに、RYT200の勉強以外にも、トラウマを持っていらっしゃる方へのヨガ指導トレーニング、マタニティヨガ指導のトレーニング等を受けました、それらの復習とかもしています。


りく:スケジュールや、やることが決まっているんですか?

及川:できないアーサナを練習することが多いです。自分の腹に落ちてないことはクラスに取り入れられないので・・・
呼吸法や、日常生活におけるヨガも心がけています。


りく:ヨガをしない日は無いということですね。

及川:そうですね。ないですね。アーサナをとらないことはありますが、ヨガはしています。


りく:日常ではどんなことに気をつけていらっしゃいますか?

及川:立ち方とか、呼吸とか単純なことなんですが、奥歯を噛み締めないとか。
意識はしていますね。


りく:そういう意識になったのはいつからですか?

及川:三年前に引きこもりになって、外に出るきっかけでも良いからと、脳を活性化させるヨガに出会いまして、私はそれにはまって、通い始めたんです。
少々宗教的であったため、周りに説得されて泣く泣くそこは止めたんです。
その後、大手ホットヨガスタジオに行くようになり、徐々に、私も教えることができたら良いなと思ったのと、いろいろ本を読んだりしていくうちに、ヨガってこれだけでは無いぞと。で、勉強してみようとなり、学校選びを始めて、その頃からマインドの方にも意識が向くようになりましたね。


りく:ヨガの初心者さんを指導しておられて、感じられる変化ってありますか?

及川:手指を開いて床についてくださいって言っても、手を開けない方が多いです。
手がボールを掴んでいるみたいに丸くなっているんです。
それが指の限界というか、指が曲がってしまう人は結構多いみたいで広げるんですよ、って言っても「痛い」とか言われちゃったり。
「手ってこんなに上がるんだ」っておっしゃる方もいらっしゃいます。
自分の身体をあまり知らない人が、知っていく変化というのは感じられます。
ヨガはスポーツではないですが、あえてスポーツというならば、ご褒美付きのスポーツだと思うんです。
勝った負けたもないですし、今日出来たことが明日できなくても良いですし、逆に、今日できなかったことが明日できるかもしれなくて。
その変化を楽しむものだと思うんです。
だから、競争社会に居る人ほど、感動したりしておられますね。


りく:ヨガをやっていて、インストラクターさんに「できない自分も受け入れてくださいね」と声をかけていただいたことがあるのですが、受け入れられていないで悩んでいる雰囲気が出ていたのでしょうか?
そういった雰囲気はインストラクターさんには伝わりますか?

及川:歯を食いしばっていたり、眉間にしわが寄っていたり、よくあるのが、息が止まっていること。
できるようになりたいという気持ちを、できなきゃいけないという気持ちが超えてしまっていると思うんですよ。
それはすごく感じます。
なので、「チャレンジはいいけれど、無謀はしないようにしましょうね」とよく言います。
逆の場合もありますよ。適当にやっちゃう方。笑


りく:がんばりすぎてしまう人にはどういったお声掛けをされるんですか?

及川:まず、人数が居る場合、私が必ず言うのは、奥歯を噛み締めない、息を止めない。
むしろスマイルで!と。
この言葉だけで、フッと力を抜いてくれますし、笑いが起こることもしばしばです。


りく:では、手を抜いてしまう人にはどういったお声掛けをされますか?

及川:そういう方は手先や足先に力が入っていない場合が多いので、その部分をちょっと触ってみたりしますね。
せっかくやるんだったら中途半端だともったいないですからね。


りく:自分であっていると思っていても、ポーズの正確な形が入っていないので、そのままになっている方もいらっしゃると思うのですが、そういう場合はやはり少人数でみていただいた方が良いですね。

及川:大人数でも対応可能な先生もいらっしゃいますよ。
できればそれがインストラクターとしては理想ですが、それはインストラクターの経験と勘と、知識も必要です。


りく:でもなかなか、そういうインストラクターさんばかりではないですよね。

及川:そうですね。
もっと先生に質問ができると良いと思います。
私もダウンドックができなかったんですよね。
あるとき、インストラクターさんに、「及川さん、ほとんどのアーサナがきれいなのに、ダウンドック変だよね」って声をかけてもらったんですね。
で、やっぱり!ってなって、どういしたら良い?って聞いたらロッカールームで教えてくれたんです。
私もあのとき声をかけてもらえなかったら、どうかな?と思いながらやってたと思うんです。


りく:自分で正しいのか判断するのは難しいですよね。

及川:そうですね。
少人数のところか、マンツーマンのところだと、しっかり見てもらえるので良いと思います。
あとは、一般の方が参加しやすいワークショップがあれば良いと思います。
ヨガは12のポーズができるようになれば自分でも自宅できちんと練習ができるので、12のポーズをマスターすると良いですね。


りく:インストラクターとして心がけておられることはありますか?

及川:ヨガのインストラクターはパフォーマーである必要はない!と思っています。
フェスとかでは何百人の前でマイクをつけてやりますが、それはあくまでイベントであり、パフォーマー的です。
有名な先生だったり、モデルさんだったり、とてもきれいな人だったりと、とてもイベント感覚で。
それはそれで楽しいですし、でも自分が実際インストラクターとしてやっていくときには、別に私は崇められなくてもいいし、きれいだなんだとか言われなくてもいいですし、クラスに来ている人たちが自分の体を使ってきれいにアーサナをとったり呼吸をしたり瞑想したりできるように導きたいと思っていて。
だから、パフォーマーにならなくていいと思っています。
人数をたくさん入れるスタジオだと、インストラクターさんみたいになりたいとか、そういうので人を集めているところもありますよね。
ファッションショーで綺麗なモデルさんを見てああなりたいと思うのと、ヨガのインストラクターとは別物ですから。


りく:ヨガのインストラクターさんをたくさん知っているわけではないですが、皆さんに憧れる部分というのはありますけれど・・・。それはヨガが憧れの対象なのかもしれないですが、ヨガを信じてらっしゃる方、というのは、女性でも男性でも外見ではなく、憧れる対象にはなってしまうとは思います。やっぱり皆さん、きれいですけどね。笑
違いというと、どこになるんでしょうか?人柄?相性でしょうか?

及川:その時に自分が求めているものを持っている人なんだと思います。
私は、クランティ先生は、最初参加したときは「無理!二度と来れない」って思ったんですよね。
英語は分かるので、言葉の壁とかではなく、ある種緊張感みたいなものや、怖いというのもあって、アシュタンガだからハードだし、周りはすごいし。
シールシャーサナを当たり前にやる人ばかりで、どうしよう?!って。
でも、一年ぐらい経って自分の身体も動けるようになって行ってみたら、すごい気持ちよくて。
アジャストも素早く的確で、アーサナに深く入っていける快感がすごくて。
その時々で、合う、合わないっていうのはあると思うんですよね。
それを見極めるのは、やってみないと分からないですね!
いろんなコースやスタジオに行ってみることは良いと思います。
いろんなスタジオにトライアルに行ってみる。
スタジオに行ったら特典の説明もあると思いますが、スタジオなんてめちゃくちゃいっぱいあるので、トライアル1000円くらいだと思うので、ここでやろうと思えるところに出会うまで行ってみるのが良いですね。
もちろん、それがこのスタジオだと嬉しいのですが。笑


りく:トライアルのお話が出ましたが、ハタヨガとか、アシュタンガとかいろいろ種類がありますが、初心者はどういった所にトライアルに行けば良いですか?

及川:そのスタジオの初心者クラスであれば、行ける日時に行ってみる、もしなければ、ほかを探すか、ちょっとチャレンジしてみるか、上級とかに行かない限り大丈夫でしょう。「初心者です」とわざわざおっしゃらなくても、インストラクターは見ればわかりますし、安心していただいて大丈夫です。


りく:でも、アシュタンガの初級は初心者には難しいと思うのですが。

及川:難しいですね。私もアシュタンガは、まだまだ初級です。


りく:何ヨガの初級が良いですか?

及川:ハタヨガが良いと思います。どのヨガもハタヨガから派生しているので、ハタビギナーがおすすめですね。


りく:オリジナリティーあふれる名前のコースしかない場合はどうすれば良いですか?

及川:オリジナルばっかりをやっているスタジオでも、「その中でのビギナークラスは何ですか?」とか、「スタジオで1番ビギナーが参加できるクラスは何ですか?」とか聞けば、スタジオからも質問してくれます。
ヨガの経験がなくても、他のスポーツの経験があれば、できる方もいらっしゃいますから、私であれば、「日常で30分以上歩く生活されてますか?」とか、「スポーツされてますか?」とかそういうことを聞いた上で、その方にあうレッスンをおすすめしますし、あとは、時間帯で可能なレッスンをおすすめしますね。


りく:スタジオを探すコツとして、通える日時で、まずはビギナークラスを確認することですね。

及川:そうですね。
運動量が少ないレッスンで。
ただ、注意点としては、道具を使って行うヨガにはいきなり参加しない方が良いと思います。リストラティブヨガなどです。
私はあまりおすすめしません。
というのは、身体がリラックスすることを覚えてからでないと、慣れない道具なうえに、不自然な姿勢になり、逆に緊張してしまいますからね。


りく:なるほど。道具を使う利点も分からないですからね。
ただなんとなく、イメージでは道具を使った方が、初心者っぽいですけどね。

及川:そうですね。
補助として使う分には問題ないと思いますよ。道具ありき!のヨガでなければ問題ないとは思います。


りく:初心者の方は、少人数のクラスの方が良いですね。

及川:絶対にその方が良いと思います。


りく:少人数のクラスですと、インストラクターさんとの距離や、クラスの雰囲気によってかなり変わってきますよね。
そう考えていくと、少人数のクラスのメリットとデメリットはなんでしょうか?

及川:少人数のメリットは、細かい指導ができて、インストラクターも気がつきやすい。
デメリットは、生徒さん同士が仲良くなりすぎて、新しく入る人がとけ込みにくい空間になってしまう可能性もありますね。
でも、そういう部分はスタジオ側で生徒間で壁ができてしまった場合、感じさせないように工夫をします。


りく:では、大人数のメリットとデメリットはなんでしょうか?

及川:大人数のメリットは、習い事という感じがしないかもしれないですね。
大人数の中で、みんな一緒という感覚が安心するということもあるかもしれないです。
私は、みんな一緒というのは苦手ですが・・・
いろいろな人がいると思うので、通い続けるうちに、いろいろな世界の人と出会うことができるというのは、良いことだと思います。
しゃべらなくても、受付でよく会うとか、同じウェアー着てるとかで、人と人がつながっていくこともあると思うから、大人数だと、それだけ大きな可能性があるということはとても面白いと思います。
デメリットは、あまり丁寧に見てもらえず、分からないことは、分からないまんまになってしまうかもしれない。
大人数のスタジオを選びますか?少人数のスタジオを選びますか?ってどちらが良いとは一概には言えませんが、私は少人数のところで教えているので、少人数押しですが。


りく:私の感想としては、大人数ですと、やっている人たちから元気がもらえる、パワーをもらえる感覚はありますね。雰囲気の違いはとても感じます。

及川:それは確かにありますね。


りく:ヨガは日本だと15年前にオウム真理教の事件があったりして、見る人によっては大丈夫?っていう感覚は若干あるように思いますが、そのあたりはどう思われますか?

及川:ヨガと宗教は別物ではなく、神様は居ますから、でも、教祖様は居ない。という部分が、ヨガは宗教ではありませんと言い切れる確固たる証拠なんです。
カリスマ性のある先生がいらっしゃって、そういう方に対しては信者っぽいというか、熱狂的なファンの方とかはついていますけど。


りく:世代としては、どの世代にもヨガはおすすめだと思いますが、特に強化したい世代というのはありますか?

及川:20代前後の女性が、ファッション感覚で、ヨガがおしゃれという傾向には違和感を感じています。
かといって、学生からヨガをやっているという人はほとんどいなくて、何か始めるきっかけが必ずあるんですよ。そう考えると、今の若い人にはヨガを始めるきっかけが無いんでしょうか。
逆に年配の方は、ちょっとヨガでもやってみるか、とか、ヨガならできるかなとか、いう感覚で始められる感じですね。


りく:日常にヨガが入って行って広がるように、どういった活動をされていますか?

及川:地道な活動を続けて行くしかないですね。日本で一時期バーッと広がったのは、ハリウッドセレブがやっているのを真似たからで、その後は有名人が生活にヨガを取り入れているというからですよね。やっぱり影響力のある人がやると、バッと火がつき、バッとひいていくという。そういうブームが去っても残っているものをきちんと育てて行きたいです。


りく:ヨガのインストラクターというお仕事は、やってみていかがですか?

及川:とても楽しいです。「教える」ことも、実は元々好きだったのだと思います。
でも、「先生」と呼ばれるのには、全然慣れなくて、同じ目線で存在したいなとも思います。
正直、インストラクターの仕事だけで食べて行くのは厳しい世界なので、気長に、楽しく続けていきたいです。


りく:生徒は、何を目標にしてヨガをするのが一番良いと思われますか?

及川:まずは、一回で止めないで続ける!
ヨガに限らず一回目は緊張しますし、良い面も悪い面も、そんなには感じ取れないと思います。
一回やってみて、やだなと思ったときは、いつかもう一回と思えれば良いと思いますし、思えなくても、自分を責める必要はないですが。
気負い込んで始めることではないので、2個目の目標としては、まずは、月に1回から2回くらいからやってみる。
週に一回で、無理がなければ良いんですけど、新しいことを始めると、生活も結構変わりますし、洗濯物も増えますし。プレッシャーでなければ、その変化に順応できるのであれば全然良いと思いますが、変化、影響はお金の問題だけではないと思いますから。ペース配分を最初に無理しすぎないことですね。いっぱい行かないと損!という考え方ではなくて、がむしゃらに、月これだけ払ってるんだから!とかムキになって行くのは、ヨガではないと思うんですよ。
なので、一回で止めない!
それと、その方の日常生活のペースが劇的に変化しない程度に、取り入れてみる。
新しいことを始めるというよりは、普段飲んでいるお茶の種類を一種類増やしましたという感覚で良いんですよ。
引き出しが一段増えた感じですかね。そんな感じ、程度で始めた方が良いと思います。


りく:ヨガから受けている影響は何かありますか?

及川:私はすごく完璧主義で、ものすごいがんばり屋というか、追いつめてしまう感じだったんですけど、そういうところが「今日はこんな感じで良いんじゃない」って思えるようになりました。
ヨガの教えの中で、「サントーシャ」「知足」っていうのがあるんですけど、それって、今自分の置かれている環境、状況、周りの人たちを大切にできていて、美味しいご飯を食べて、仕事をして、今の自分は恵まれている、幸せだと思えるということ。
人間、望めばもちろん切りがないですが、今の自分には今の自分がちょうど良い大きさだったり、仕事量だったり。
足りているを、知る。
この教えを聞いたときにすごく感動したんです。
私は無いものねだりで、人をうらやましがってばかりいたし、こうなりたい自分がたくさんあって、それらに向かってがむしゃらに走り、届かないと焦って自分を責めてたから、そこから自分を外してあげることができたので、私は今、私が喜んでいると思うんですね。身体にしろ、マインドにしろ。
身体の調子は明らかに良いですね。身体がラクだと、心がラクになりますし、穏やかに、健やかになったことは実感しています。


りく:ヨガの何がそこまでの変化を与えてくれるんでしょうか?

及川:呼吸ですね!
当たり前に呼吸ってしているんですけれど、他のスポーツとか、生活活動の中で、ヨガほど呼吸に意識を向けることって無いと思うんですよね。
身体に意識を向けることはあっても。私はヨガ以外で呼吸に意識を向けるという経験は無いですね。


りく:ヨガの呼吸と、気は同じ、もしくはセットなんでしょうか?

及川:セットと捉えて良いと思います。気の流れを、呼吸にのせてイメージすると感じやすいですね。
吸う息の時に気が下から上に流れて、吐く息の時に上から下に流れると説明されると、イメージしやすくありませんか?
全くのイコールではないですが、ニアリーイコールで良いのかなと思います。


りく:呼吸と気を意識する方法や、意識するポイントを教えていただけますか?

及川:呼吸は、息で良いと思うんです。呼吸を数えてみるとか。長さではなくて、回数を数えると良いですね。自分が自然に行っている呼吸を数えてみる。1分に何回しているかとか。お風呂に浸かっている時はのんびりしていてお勧めです。
意外と呼吸数は少ないなとか、短いなという発見があると思います。
自分の呼吸を少しだけでいいので意識して、レッスンでは、長さを調節する練習などをすると、取組やすいと思います。


りく:ポーズの時は何を考えていれば良いのでしょうか?

及川:特に何を、というものはありませんが、思考と視線は繋がっていると考えています。
視線って結構大きいんですよね。
初心者さんだと、目を閉じちゃう人が多くて、逆に閉じられなくてキョロキョロしちゃう人も居るんですけど。どちらかに分かれますが、頭のおしゃべりが始まったら、それはそれを楽しめばいいと思います。


りく:ヨガの楽しみ方を教えてください。

及川:自分が感じやすいところを感じていれば良いと思います。おなかでも、尾てい骨でも。・・・胸が感じやすいかもしれないですね。
びっくりしたときも、安心したときも、悲しいときも、胸に手を当てて意識すると思うので、ハート、心臓を意識するのは良いと思います。ヨガは気張らずに、身体があればできることなので。
ヨガってファッショナブルなものになりすぎているから、私はちょっと違うなと思っていて、スタジオに行く勇気がない人にこそ、こういう記事が伝わってほしいです。
スタジオに行かなくても、自分のことを知ってあげる時間が一日の中であれば良いんです。
私がボロボロになっていた時にヨガと出会ったので、やっぱりそういう人にやってもらいたいんです。


りく:及川様が、そういった方々にヨガをレクチャーするという機会はないんですか?

及川:今はまだないんですよ。きっかけが必要ですね。
トラウマを抱えている人、精神的に不安定な方向けの指導法も学んでいますが、実際どこかで、というのはまだです。
そういう場所があれば、行きたいと思います。
理想としている自分と現実の自分は当然違うんです。でも自分は自分だし、ありのままの姿といった時に、どの時点の自分を想像するかですよね。
ありのまま、あたりまえ、ありのまま、イコールあたりまえだと思うし、ヨガをしていくと、あたりまえ、ありのままの自分が広がって行きます。発見や驚き、ショックもありますし。


りく:最後に、ヨガをしている人、したい人、興味のある人にメッセージをお願いします。

及川:ヨガは、格好良い言い方をしちゃうと、自分と向き合う時間。
難しく考えなくて良いので、今身近にヨガがある人は、共にあるものとして大切にしてほしいです。
これから始める人や、初めたばかりの人は、まだヨガは遠くにあるかもしれない。
けど、近くに引き寄せることはできるので、その距離感を味わってほしいです。
ヨガって繋ぐっていう意味があるので。
感情と心がつながる。
心と身体が繋がる。
それで私ができて、生きている。
私と、私というあなたが繋がってコミュニケーションが生まれて、それがまた繋がって人の輪、社会、家族とか繋がっていくので。
マットの上で行うヨガもあれば、日常生活でも全部ヨガに繋がっているので、身体だけでなく、心のよりどころになっていくと、良いなと思います。
そしてそのお手伝いをすることができれば、とても幸せに思います。


インタビューを終えて

「ありのまま」という言葉を何度も口にされていた及川彩さん。その口調と佇まいは、とても大きく、力強いものでした。

身振り手振り、だけでなく、スタジオにあるヨガの道具を出してレクチャーまで交えてのインタビュー。
真剣なまなざし、素敵な笑顔の奥に身体と心を貫いている、強く暖かい流れをヒシヒシと感じることが出来ました。

ヨガを始めてみたいという方、もっと知りたいという方は、及川彩インストラクターのレッスンを是非受講していただきたいです。


ワンポイントヨガ用語

インタビューで出てきているヨガ用語をワンポイントでご説明いたします。

・アーサナ
身体の「姿勢、体位」を意味します。
ヨガを行う時の姿勢のことで、運動ではなく姿勢として行われています。

・スーリヤナマスカーラ
ヨガで行う流れの1つである「太陽礼拝」のことです。

・ダウンドック
ヨガで行う姿勢の1つです。(太陽礼拝の中にも組み込まれています)

・シールシャーサナ
ヨガで行う姿勢の1つ。頭で立つ高度なポーズです。

・アシュタンガ
ヨガの流派の1つです。運動量も多く、パワーヨガの前身とされています。

・リストラティブヨガ
完全にリラックスするためのヨガで、ブロックなど道具を使って行います。

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