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ランテルディ、ポールスミスローズ、ミツコ…名香に纏わるエピソード



香水
 
世に香水は数多あれど、名香と呼ばれるものは限られています。
それらは調香師のみならず、企画者や企業主、ボトルデザイナーなど多くの人々の想いの結晶と言えるでしょう。
その誕生には多くのドラマがありました。


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ランテルディ

例えば1957年に誕生した「ランテルディ」。1950年代の名香のひとつです。
この香水はユベール・ド・ジバンシィが、かの超女優オードリー・ヘップバーンに捧げたものとされています。

香水のタイトルであるランテルディという言葉の意味は「禁止」。
由来はオードリーが「私以外は使わないでね」と言ったというエピソードがあるとのこと。
なんともチャーミングで、オードリーの顔を思い浮かべながらこのセリフを想像すると香水の香りがより一層馨しいものに感じれてきます。

ジャスミンやスミレやピンクペッパーの、女らしくも甘すぎたりはしないミドルノート、ラストノートのシックさは正に可憐な大女優オードリー・ヘップバーンの気品を感じさせます。
彼女の映画が好きな方にはぜひともお勧めしたい香りです。

 

ポール・スミス・ローズ

他にもロマンティックな誕生エピソードを持つ名香は存在します。
夫婦の愛情溢れる誕生エピソードとして紹介したいのが「ポール・スミス・ローズ」です。
バラが好きな夫ポール・スミスのために彼の妻が三年の歳月をかけて新種のバラを開発し、夫にプレゼントしました。
妻のプレゼントに感激したポール・スミスはこのバラの香りを使って香水を作ったのです。
二人にとってそのバラは、他のどのバラとも違う特別なものだったのでしょう。

バラの香水の中でもくどすぎないため、女性からの人気も高い香水です。誕生エピソードを聞いてから身に纏うと、夫婦のお互いの愛情を大事に想う気持ちが想像されて少しくすぐったくなってしまいます。

 

ゲランの香水 Mitsouko(ミツコ)

香水はその香りもさることながら、タイトルやエピソードに人を惹きつける魅力を持ったものが多く存在します。
例えば、ゲランの香水「Mitsouko」。
数ある海外の名香の中でも、日本人が立ち止まってその名を確認してしまう香水ではないでしょうか。

ゲランが1919年に発表したもので、フレグランスの老舗ゲランを代表する香の一つです。
同年に発表された『ラ・バタイユ』という小説の主人公をモチーフにした香りです。
英国の将校と不倫の恋に落ちる日本人の人妻の話ですが、ボトルデザインが「逆ハート型」なのはそのせいでしょうか。

 

男性にも人気の高い「Mitsouko」

香調はシプレー系。トップノートは柑橘系の香りで、ミドルノートはローズ、ジャスミン、ピーチなどの甘い香り、ラストノートはオークモス、ベチバー、シダーウッド、ブラックペッパー、シナモン、アンバーグリス。特徴はアルデヒドC-16を過剰に投入したことで生まれたオークモスとパチョリとピーチ香の組み合わせです。シプレー系でありながらフルーティなピーチの香りがするのも魅力的です。強すぎず、官能的でありながら気品高い香りとなっています。

他のシプレー系の香水と同様、女性用であっても男性も使用可能とされています。かの喜劇王チャーリー・チャップリンも愛用していたことで知られていますし、セルゲイ・ディアギレフ(ロシアバレエ団の創設者)は公演に際して緞帳に香りを付けていたと言われています。

 

「Mitsouko」にも数々のエピソードが…

多くの名香と同じようにこの香水もまた多くのエピソードを持っています。
悲劇として有名なのは(悲劇の主人公はコメディという言葉で表現しているが)拳銃自殺をしたポール・バーンの逸話です。
彼は女優ジーン・ハーロウの2番目の夫でしたが、離婚に際し妻の愛用していた香水「Mitsouko」を浴びて死を選びました。

 

名香は逸話を纏い、さらに輝く

香水はもちろん、その香りに魅力があります。
しかし、名香はその香りに次々と逸話がついていきます。
その逸話は悲劇であれ、美談であれ、その香りをより一層人の心を惹きつける力として香水のエピソードに加算されていきます。
愛され、多くの人々の体だけでなく思想や人生をも彩り、ある意味では「業」とも言えるエピソードをも身に纏う名香。
言うなればそれほどの魅力をたたえたものなのかも知れません。
その香りを吸い込むたびに、同じ香りを纏いながら激しい人生を生きた先人を想います。
そうしているうちに自分もその香水のエピソードの一つになったかのように錯覚してしまうのは、これもまた香水の魔力の成果も知れません。

 

オーダーメイドの香水もあなたの逸話で新しい名香に

また、現在ではオーダーメイドの香水を販売する店も存在しますし、自作する方もいらっしゃいます。
オーダーメイドの香水は顧客の好みだけでなく個性に合わせて香水を作ってくれます。
欲しい香水のイメージや普段のファッション、好きな花や果物や季節に音楽と言ったものから連想してその人にぴったりの香水を創造してくれるのです。
このオーダーメイド香水はプレゼントとしての需要もあるとのことです。
例えば大切な記念日に、例えば大切なあの人に。自分や相手のイメージ、記念日を彷彿とさせるような香りを作って贈り物としたり、自分へのご褒美として注文するのも良いかもしれません。
香りは記憶をくすぐるものです。
素敵なエピソードとともに誕生した香水はきっとあなただけの「名香」になることでしょう。

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