つい昨年、とうとう私にも更年期障害が訪れました
つい昨年、とうとう私にも更年期障害が訪れました。現在五十代半ば。五十代に入った頃から月経周期が次第に狂い始め、やがてぴたっと来なくなりました。
しかしその時点では更年期障害らしい症状は殆ど出ていなかったのです。俗に「母親が更年期障害が軽いとその娘も軽い」と言われます。
私の母も更年期は殆ど無症状で過ぎた人だったので、何となく自分も「気づいたら過ぎていた」という風になるのかな~と半ば期待していました。
ところが、です。そう現実は上手く行かなかったのですね。
55歳の誕生日を間近にした初夏のある日、膀胱炎らしい症状を感じて病院へ行くと予想通り尿から菌と血液が見つかり、抗生剤が処方されました。
膀胱炎にはかつて何度か罹ったことがあるので、その経験上数日間抗生剤を飲めば症状が治まることは知っていました。
ところが膀胱炎そのものは治まり、検査してももう尿からは何も検出されないのに何故だかすっきりしない。頻尿感、残尿感、しみるような感じが膀胱とその周辺にずっと残って、落ち着きません。
内科、泌尿器科、を経由して最終的に診断がついたのは婦人科ででした。
そこでの診断は「萎縮性膣炎」。初めて聞く病名でした。膀胱に問題があったのではなく、膣の方に変化が起きていたのです。
主治医の説明はこうでした。「これは更年期障害のひとつです。血液検査の結果、女性ホルモンの値がとても低くなっています。そのせいで膣内の粘膜が薄くなって炎症が起きやすくなっているんです。」
何となく頭では更年期、と理解はできていたのですが、具体的に症状として経験して初めてあぁ、自分の身体が大きく変わっていく境目にいるんだなと実感しました。そしてもうすぐ老年期に入って行くのだという覚悟のような寂しさが同時に襲ってきました。
現在では更年期障害に関する情報が広く知れ渡り、当事者の女性達も比較的気軽に自分が更年期障害であることを口にしやすくなっていますが、一昔前は「更年期」という概念そのものがなかったといいます。
寿命が今程長くなかったということもあるでしょうが、きっと辛い症状にじっと耐えて過ごした女性達も多かったはず。
女性なら誰もが通るこの一時期をできるだけ少ない苦痛で済ませたい。そう思う人はきっとたくさんいらっしゃるのではないでしょうか。私も含めそう願う女性にとって実に良い時代に居合わせたものだと思います。
それは病気ではないけれどもQOL(生活の質)が大きく損なわれるこの症状への対処が、近年様々な方向から行われるようになってきたからです。
私が婦人科で受けた治療は女性ホルモン補充療法でした。現在最もダイレクトな更年期障害への対処方法だと思われます。
以前は注射の形だったようですが、現在では小さな貼り薬を股の内側や下腹部などに張りつけ、二日に一度取り替えるだけ。とても手軽で、保険もききます。
先に説明したように、更年期障害はエストロゲンが急激に減少したため起きる諸症状。貼り薬に含まれるエストロゲンが皮膚を通して体内に吸収されるので、辛い症状(多量の発汗、のぼせ、目眩、だるさ、イライラ、など)を緩和することができます。
私の場合は萎縮性膣炎の他、メンタル面での不調が大きかったので、心療内科のドクターとも話し合い、その時々で最も合う薬を処方してもらいました。
その結果、全体的な不調は次第に収まり、年が明ける頃にはほぼ普通の状態にまで回復。現在はおおむね元気に過ごせています。
さて、先に説明した女性ホルモン補充療法を「究極のアンチエイジング」と表現した友人がいました。
確かに減ってしまった女性ホルモンを補うわけですから、若さを保つのにもうってつけと言えるでしょう。ただ、微量とはいえ、外から人工的にエストロゲンを入れるので、乳がんになる確率が多少上がるのは否めません。
もちろんホルモン治療をしている間は、病院で定期的な検査がありますから過度の心配は不要ですが。
そしてホルモン療法より効き目が穏やかで、かつ病院で受けられるアンチエイジング法としてもうひとつ紹介したいのがプラセンタ注射です。
プラセンタは胎盤のこと。お腹の赤ちゃんを育む場所ですから当然健康に良い多くの成分を含んでいます。
豚や馬などの胎盤エキスがサプリメントとして発売されているのをご存知の方も多いでしょう。
サプリで口から摂取するより、もっと効果的なのが注射によって体内にエキスを注入する方法なのです。
こちらの方は現在のところ保険は使えません。しかし定期的に使い続ける事で、肌ツヤやシワたるみなどの改善、自律神経のバランスを取る、白髪の増加を防ぐ、といった効果が期待できるそうです。
私自身はまだ体験したことがありませんが、ホルモン療法程ピンポイントではなくても、少しづつ身体に効いていくのでその点で優しさを感じます。
また、更年期障害に対して有効な医学的療法としてはもうひとつ漢方薬が挙げられます。
私も精神安定剤や抗鬱剤と一緒に漢方薬を使っていた時期がありました。漢方薬は西洋医学で処方される薬と比べ効き方が穏やかなものが多いとされています。
また患者さんの体質やその時々の症状で同じ人でも、また同じ病気であっても処方される薬が異なることがあります。そこが西洋医学の薬とは大きく違う点です。
そして患者さんにぴったりあう処方がなされた場合は劇的に症状を好転させることもあるそうです。