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スミレとバラ…花をイメージした香水、フローラル・ノート



マリー・アントワネットのお話

ビンに入った香水
 
マリー・アントワネットは、フランス国王ルイ16世の妃です。
生まれはオーストリア。神聖ローマ皇帝フランツ1世とマリア・テレジアの子供として生まれました。
オーストリアとフランスの関係を強くするため、いわば、政略結婚で、ルイ16世に嫁いだのです。
軽率な性格で、多くの浮き名を流しました。
また、浪費家で、フランスの国家財政を傾けて、フランス革命の直接の動機を作った、といわれています。
もっとも、こういう評判は、革命の引き金にするために、誇張されている可能性もあります。
ともかくも、マリー・アントワネットは、フランス革命の嵐に巻き込まれて、断頭台の露と消えたのでした。


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マリー・アントワネットは、聡明であり、美貌の持ち主であった。これは、今に残る手紙や肖像画から、間違いありません。
そして、マリー・アントワネットは、香水をこよなく愛しました。
スミレとバラの香りがお気に入りでした。
マリー・アントワネットにあやかり、当時、バラやラベンダーを入れた匂い袋が大流行したのです。
ちなみに、マリー・アントワネットは、処刑前日にも、香水を買いに行かせたそうです。その香水の名前は〈花の破滅〉。出来過ぎた話ではあります。

 

スミレのお話

浮き名を流す人もいれば、それに嫉妬をする人もいる。男と女がいるかぎり、いつの時代でも、起こりうることです。
いや、人間だけではありません。ギリシャ神話の神々ですら、浮気をして嫉妬をするのです。
ギリシャ神話の中の最高の神であるゼウスは、イオという名の少女を愛しました。ところが、ゼウスの妻のヘラが怒りました。ゼウスは、愛するイオを雌の仔牛に変えました。そして、この仔牛の食物として、スミレを作ったのです。
スミレは、ギリシャ語でイオンといいます。この少女の名前から、名付けられたのだそうです。

マリー・アントワネットの後のことですが、フランスでナポレオンが活躍しました。
フランス革命の混乱を終結させ、第一帝政の皇帝となったのです。
しかし、ロシア遠征で失敗し、失脚し、エルバ島へ流されたのです。
でも、ナポレオンは、不屈でした。ナポレオンは、「来春、スミレの花の咲く頃にはカムバックする」と宣言しました。
これ以来、スミレは、ナポレオンのシンボルになったのです。

スミレの花言葉は、次の通りです。

 
白スミレは: 気品、温情。
紫スミレは: 忠実、誠実。
黄スミレは: 小さい幸福。

 
スミレの香りは、ビクトリア・バイオレットと呼ばれる種類のスミレから抽出されます。
ただ、スミレの花自体がデリケートで、香りの成分も少なく、抽出率は、きわめて小さいのです。

 

バラのお話

ギリシャ神話の中の最高の神であるゼウスは、多くの女神と多くの子供を作りました。
ゼウスとディオーヌの間に生まれたのがアフロディテで、美の象徴となっています。
この美しいアフロディテが水浴びをしていたとき、その水の中から咲いてきたのが、赤いバラの花なのです。

アフロディテの子供がエロスです。
エロスは、母親であるアフロディテの秘密を知ってしまいました。もちろん、恋愛に関することです。
エロスは、この秘密を、沈黙の神であるハルポクラテスに打ち明けました。そして、この秘密が他者に漏れないように、工夫してもらったのです。お礼として、エロスは、バラの花を贈りました。
それ以来、バラの花の下で話すことは、他言無用の約束となったのです。

バラの花言葉は、次の通りです。

 
赤い花は: 熱烈な愛。
黄色い花は: 嫉妬。
白い花は: 純潔。
つぼみは: 愛の告白。

 
香料を抽出するバラの生産地としては、南フランスとモロッコのマラケシュが有名です。
そして、世界最大、最高なのがブルガリア。首都ソフィアの東に、広大なバラの谷が広がっているのです。

 

フローラル・ノートの分類

フローラル・ノートは、花をイメージさせる香りです。
多くの香水が、このジャンルに入ります。
そして、フローラルの中も、さらに、いくつかに分けることができます。

 
◎ フローラル・グリーン・ノート。

草や緑の葉をイメージさせる香りです。
さりげない香りで、さわやかな印象を与えます。

ピエール・ヴァルマンに〈ヴァン・ヴェール〉があります。
初めてのグリーン・ノートとして、評判になりました。

 
◎ フローラル・フルーティ・ノート。

フルーツの新鮮で甘いイメージを持つ香りです。
初夏にふさわしい香りです。

アニエス・ベーに〈ル・ベー〉があります。
さわやかさと同時に、甘さも強調されています。

 
◎ フローラル・フレッシュ・ノート。

ヒヤシンスやすずらんなど、春をイメージさせる香りです。
いくつになっても少女時代を忘れない、ロマンティックな女性の香りです。

クリスチャン・ディオールに〈ディオリシモ〉があります。
百合の香りを中心とした、若々しく優雅な気品があります。

 
◎ フローラル・フローラル・ノート。

香水の定番といえる香りです。
花束に包まれているイメージの香りです。

ブルジョワに〈ソワール・ド・パリ〉があります。
バラとスミレが作る、大人の香りです。

 
◎ フローラル・アルデヒド・ノート。

フローラルに、アルデヒドという香料成分を加えたものです。
フローラルの優雅さが、より高級になりました。

資生堂に〈沙棗〉があります。
魅惑的な、成熟した女性のための香りです。

 
◎ フローラル・スイート・ノート。

フローラルにオリエンタルのイメージが加わっています。
大人のセクシーさ、それに少女の無邪気さが、同時に入っています。

コティーに〈ロリガン〉があります。
古典です。

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