-香水と記憶- 香りを使った時間旅行で楽しかった思い出をリアルに蘇らせよう！

街を歩いていて、すれ違った人から昔付き合っていた人の香りがしてふと懐かしくなった。という経験ございませんでしょうか？

香りの作用

香りというものは嗅覚を通じて脳の大脳辺縁系の“扁桃体”という「好きか嫌いか、快か不快」という感情を判断する箇所に作用します。
人間の五感である、視覚、聴覚、触覚、味覚、嗅覚のうち、他の四つの感覚も大脳辺縁系に作用しますが、視覚下部というところを通り少し遠回りで脳に情報として収容されます。
それに対して嗅覚のみ、“嗅神経”を直接介して脳に情報を届けることができるのです。
大脳辺縁系“扁桃体”のすぐ近くには“海馬”と呼ばれる人の記憶を司る部分があります。
この海馬は扁桃体からきた感情の情報も記憶としてインプットします。
これらの関係性については最近の研究でかなり解明されてきているようです。ある心理学研究では、他の感覚器による記憶より、嗅覚がもっとも優れている。という報告が出されているようです。――と、なんだか少し難しいお話しになってしまいましたが、嗅覚で感じ取った情報は最短コースで新鮮なうちに脳に記憶される。ということですね。
クール宅急便の速達コースです。

香りと記憶の関係は科学でも証明されている！

「香りが記憶を呼び戻す」というのは科学的もきちんと証明されていることなんですね。
この現象は小説の名前にちなんで「ブルースト効果」と名付けられています。フランスのマルセル・プルースト著書「失われた記憶を求めて」だそうですので、興味がある方は一度お読みになってはいかがでしょうか。

香りのタイムスリップ効果は思い出をリアルに蘇らせる

このブルースト現象の特徴は、私たちに「タイムスリップ」という不可能なことを唯一可能にしてくれるものだと思っています。
大好きだった人がつけていたマフラーを帰り際にお借りしたことがございました。
家に帰るとマフラーに残った香水の香りを感じました。
少し切ない気持ちでそのマフラーを手にしておりました。何年か後、たまたま当時その方がつけていた香水を入手することができ、香水を手にキャップを外しました。
キャップ下からもれる香りだけで涙が出てくる思いがしました。
当時マフラーを手にした時の情景と、生地の感触、そして、当時「大好きだった」気持ちと、あの時感じた切なさの感情がそのまま思い出されました。
もうずっと忘れていたことでしたし、その香水の香りを嗅がなければこの先思い出すことはなかったのだろうと思います。

過去を目の前で体感できるのも香水の楽しみ方かも

記憶というのは強く衝撃を得たものは他の事象より、残り易くなります。
タイムスリップと言いましたが、香り一つで、情景（視覚）・感触・感情を当時から呼び戻せるのです。
しかしこれらは“過去”のもので言ってしまえば単なる記憶。
実際に今、見たり触れたり感じることが出来るものではありません。
しかし「香水の香り」は、過去と同じく今目の前で体感できているのです。“過去”のものでありながら、“現在”のものである。
過去と今が同時に起こること、これぞタイムスリップ。

「あのときの香り」を意図して残してみる冒険

おすすめなのは、一度大切な思い出を共有した香りは、それ以降使わず大事に保管しておくことです。そしてまた新たな香水にチャレンジしてみましょう。
そしてまた新しい思い出をつくっていって下さい。
いつかふとした時に、“あの時の香り”を嗅ぎたくなることがあるでしょう。そんな時はそっと香水のふたを外してみて下さい。
きっとあなたを当時に連れて行ってくれることでしょう。

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