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初心者のための香水講座 第2回:日本と世界で異なる香りの文化



香水

 

英語やフランス語では、香水は「着る」と表現します。
つまり、洋服と同様に着るのです。身体に香水を着て、その次に下着を着て、さらにその上にドレスを着る、という感覚なのです。
香水は、身にまとうものの1つ、洋服の1部と、とらえられているのです。
これは、西洋人は体臭が強いので香水をぜひとも必要としているからなのです。

 
それだけではありません。
例えば、ヴェルサイユ宮殿は、写真などで見ているだけならきれいですが、実際に使われていたルイ王朝時代には、汚物の臭いが酷かったのです。トイレの設備がなく、貴族たちは勝手な場所で用を足していたのです。
それならトイレを作ればいいじゃないか、と思いますよね。でも、彼らは別な方法で問題を解決していました。臭いを香料でごまかしていたのです。
こうした文化的背景から、香水が発達して、香水は洋服の1部のように必ず着るものである、ということになったのです。

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日本では「香水をつける」

ところが日本語では、香水は「つける」と表現します。
つまり、とくに必要としないけれども、プラスαとして取り入れてみようか、という感覚です。
そもそも香水は明治時代に西洋の文物として日本へ入ってきました。文明開化の新しいものだからつけてみようか、ということなのです。

 
日本では香りが、それほど必要とされなかったのです。
日本人は、それほど体臭が強くありません。
それに、花や樹木、水や風の香りと親しみ、自然界との調和を重んじてきた民族性があるのでしょう。
こうしたことから、西洋の香水のような文化は発達しなかったのです。

 

 

自然のなかの香りと香道

日本人は自然界との調和を重んじてきました。日本での香りの文化は、この方向の延長で発達してきたのです。
いわゆる香道です。茶道や華道と同じような、日本独特の香りの芸術なのです。
ここでは西洋的香水のお話を続けます。でも、少しでも香りに関心がある方は、日本的香道も覗いてみることをお勧めします。

 

 

香りを身につけて・香りの選び方

香りを選ぶ基準は、どこにあるのでしょうか。
究極的な答えは、「人それぞれ」ということになりましょう。他人が、「あなたはこれにしなさい」と決めつけるのはできません。自分の判断で、「私はこれが好き」というものを選べばいいのです。
他人がどう思うか、は気にしないようにしましょう。もっと自分に自信を持ちましょう。自分が本当に好きなものを(もちろんTPOで)選びましょう。

 

選ぶ状況

好きなものを選びなさいだけでは不親切よ、と言われるかな。確かに、何にせよ、基本的な約束事というものはあります。先ずは約束事を守り、次にはそれを破り、そして個性をクリエイトする。「守、破、離」ですね。
いくつか、香りを選ぶ時の基本的な約束事を書いておきます。

 
先ず、香水を買うのは、気分も体調もよい日にしましょう。
精神的に落ち込んでいたグレイな日に洋服を買ってしまい、後で後悔したということがありますよね。香水も同じです。
また、天気がよくて湿度が高くない日に、買いに行きましょう。
香水の持つ本来の匂いが立つには、天気がよくて湿度の低い日が最適なのです。

 

日本人が好きな香り例

ある統計によりますと、日本人にはグリーン・ノート系の香りが好まれているようです。
グリーン・ノートとは、草原の緑の草をイメージさせる、すがすがしくてさわやかな香りです。

 
具体的には、次のような香水です。

[シャネル]の〈No.19〉
[ピエール・バルマン]の〈ヴァン・ヴェール〉
[資生堂]の〈むらさき〉
[エイボン]の〈ルイ・フェロー・ファンタスク〉

 

店員さんに聞くのもアリ

お店へ買いに行きました。
もし、買いたい香水の希望がはっきりしているなら、それを売り場の人やコーディネーターに相談しましょう。
イメージだけでも、「こういう感じの香り」と伝えれば、それにふさわしい香水を選んでくれるはずです。なんといっても、彼女たちはプロなのですから。

 
香水のコーナーには、ムエット(匂いを試す紙)が用意してあります。これに香水をつけてもらい、実際の香りを確かめましょう。
さらには、1日ほど、その香りと付き合ってみるのがいいのです。
香水は、時間によって立つ匂いが変化します。その全体の香りを確かめるのです。

 

香りを使う場面を想定して

香水はファッションです。
カジュアルな場面、恋人と過ごす場面、フォーマルな場面、それに各季節などなど。
それぞれの場面に合わせて、自分が好きな香水を使い分けましょう。

 

 

香りをよく知って・香水の種類(その2)

香りのタイプをわけてみましょう

 

アルデハイド・タイプ

香水のタイプを、大きく2つに分けると、フローラル・タイプとファンタスティック・タイプになります。
ここではアルデハイド・タイプを説明します。
フローラルブーケの香りに合成香料を加えた香りです。より深い香りになり、ゴージャスな優雅さを表現しています。
例えば、次のような香水があります。
[シャネル]の〈No.5〉。
[ロシャス]の〈マダムロシャス〉。

 

グリーン・タイプ

グリーン、つまり草原や若木の森をイメージさせる、やや甘くて渋い、すがすがしい香りです。あまりTPOを選ばない香りといえましょう。
例えば、次のような香水があります。
[イヴ・サンローラン]の〈イグレック〉。
[エスティ・ローダー]の〈アリアージ〉。

 

ウッディー・タイプ

樹木をイメージさせる、落ち着きのある奥行きの深い香りです。ドレスアップしたときに使いましょう。檜や白檀などに親しんでいる日本人には合う香りです。
例えば、次のような香水があります。
[カルバン]の〈ベチバー〉。
[ロジェ。ガレ]の〈サンタル〉。

 

シプレー・タイプ

木の葉が燻るときをイメージした、秋から冬にかけて似合う、静寂で格調高い香りです。シックな個性を演出したいときに使いましょう。
例えば、次のような香水があります。
[ゲラン]の〈ミツコ〉。
[カルバン]の〈マ・グリフ〉。

 

フゼア・タイプ

フゼアとはシダの葉のことです。シダの葉のようなみずみずしさをイメージした香りです。基本的には男性用なのですが、女性がマニッシュなイメージのファッションをするときに使えます。
例えば、次のような香水があります。
[エスティ・ローダー]の〈タスカニー〉。
[ワーナー・ローレン]の〈ポロ〉。

 

タバックレザー・タイプ

タバックは葉巻タバコ、レザーは皮。これらからイメージされる、アニマリックな、男性向きの香りです。乗馬服やレザーファッションのときに使いましょう。
例えば、次のような香水があります。
[シャネル]の〈クィユ・ド・ルシー〉。
[キャロン]の〈タバブロン〉。

 

オリエンタル・タイプ

西洋人がイメージする東洋の雰囲気を醸し出す香りです。つまりは、神秘的、官能的、扇情的、情熱的、幻想的なのです。気品と格調を求められる場面で個性を表現したいときに使う香りです。
例えば、次のような香水があります。
[ゲラン]の〈シャリマー〉。
[ランコム]の〈マジ・ノアール〉。

 

シトラスコロン・タイプ

レモンやオレンジなどの柑橘系の香りです。柑橘系は、匂い立ちが早くて持続時間が短いという特徴がありますので、オーデコロンとして作られています。オフィスやカジュアルなシーンで清涼感を演出します。

 
例えば、次のような香水があります。
[4711]の〈4711〉。
[クリスチャン・ディオール]の〈オーソバージュ〉。

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