お通じ改善のために知っておきたい、便秘を悪化させる5つの原因
厚生労働省による国民健康調査によれば、便秘に悩む人は約660万人。便秘であることを隠す人や、公表しない人を含めると1000万人を超すと言われ、なんと2人に1人が便秘ということになるのです。
中には重度の便秘や下剤依存症で苦しむ人も少なくありません。
深刻な状況になる前に便秘の原因をしっかりと理解して、根本的な解決を図ることが有効なアプローチです。
便秘にはどのような原因があるのか、詳しく見ていきましょう。
どうして便秘になるの?
腸は「セカンド・ブレイン」とも言われ、食べ物の吸収・消化・排泄をつかさどる腸の神経細胞は脳に次いで多いとされています。
腸は他の臓器と連携しながら、脳の指令により自ら収縮運動をすることで便を体外に排出します。
つまり、腸の動きが滞ると便が停滞してしまうのです。
では、腸はどうして動きが鈍くなってしまうのでしょうか。
ひとつには腸内環境の問題、もうひとつは自律神経の問題があげられます。
腸内環境の問題
腸内細菌は善玉菌・悪玉菌・日和見菌から構成され、排便の半分は腸内細菌であると言われています。
有害物質を生みだし、炎症を起こす原因ともなる悪玉菌が優勢になると、日和見菌も悪玉菌になってしまうため、消化吸収を助け、病気への抵抗力を持つ善玉菌が機能しなくなり、腸の動きが鈍ってしまうのです。
自律神経の問題
腸は独自の働きができるのですが、一方で脳とも深く連動しています。
普段の便通は問題ないのに、旅行中は便秘になるといった経験はありませんか。
これは自律神経のうちリラックスする働きを持つ副交感神経が抑制されてしまうからです。
それだけ腸は繊細な動きを伴うものであり、ちょっとした環境変化でバランスが崩れるのです。
このように便秘は要因が複雑にからみあって起こるものなのです。
便秘が悪化する原因は?
便秘は腸の調子や環境の変化によって誰しもが経験することですが、きちんと対処しないと深刻な症状を引き起こします。
便秘はどうして悪化してしまうのでしょうか。
理由1:便意の我慢
朝起きてすぐ出勤する生活をしたり、職場などで便を排出することがためらわれる状況にあったりなど、いろいろな局面で便意を我慢してしまいます。
便意を我慢すると自然な便意がおこりにくくなってしまうのです。
理由2:過度のダイエット
食べ物の残りかすである老廃物が身体にたまると便意がおこるのですが、そもそも食べる量が極端に少ないと便意がなくなってしまいます。
また、食事のバランスが悪いと食物繊維が不足し、便秘を悪化させてしまいます。
理由3:運動不足
腸が収縮して便を体外に排出するためのぜん動運動は腹筋を使うので、腹筋が弱いとお通じが悪くなります。
また、身体を動かさないと、腸の運動が促進されなくなってしまうのです。
運動する際には自然と水分をとりますが、運動せず水分をとらない状態を続けると便が固くなり、排出されにくくなります。
理由4:女性ホルモン
カゴメ株式会社は20~59歳の女性に対し行った「現代女性の腸内環境に関するアンケート調査」によると約半数の女性が慢性的な便秘を経験しています。
月経の周期に伴って分泌される女性ホルモンが大腸の動きを抑制し、水分を吸って便を固くしてしまいます。
参考URL:http://www.kagome.co.jp/company/news/2007/05/000452.html
理由5:ストレス
2011年東日本大震災の際、被災地では多くの人が便秘に悩まされました。
仮設トイレが不足し、衛生状態もよくないなかでの排便は過度のストレスとなります。
震災の時だけではなく、日常生活でのストレスも交感神経を優位にし、排便が抑制されてしまいます。
このように、便秘が深刻になる原因はひとつではなく、さまざまな事柄が関係しているのです。
しっかりと体調をキープしながら自律神経をコントロールすることが大切です。
私は便秘じゃないの?症状による見分け方
誰もが経験する便秘。ささいなことで便秘になるだけに、症状として便秘か便秘じゃないのかわかりにくいのも事実です。
毎日お通じがよいのが理想ですが、必ずしも毎日排便できなくても便秘とはいえません。
自分の体調に不安がなければ週2~3のお通じでも問題ないのです。
逆に「排便しなければ」という思いが強いと、必要以上に下剤を使ってしまい、深刻な便秘になってしまう例も少なくありません。
便秘を見分けるポイントは排便のペースより、自覚症状があるかないかです。
以下の症状のいずれかにあてはまる場合は病院で相談するとよいでしょう。
●便やオナラから異常なニオイがする
●排便時に違和感がある
●お腹にハリを感じる
●食欲が落ちている
ほどよくやわらかいバナナ状の便が出たら理想的な快便と言えるでしょう。排便のペースよりは残便感があることが問題なのでチェックしてみましょう。
食生活や生活習慣の見直しを行い、根本的な体質を改善していくことにより、お通じを改善させていきましょう。