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和の心が生み出す香りの文化…日本における香水の歴史



富士山と桜
 
日本人もまた、古来より香りを身にまとう文化がありました。平安時代には衣服に香を焚き染め、女性のみならず男性もまた、その趣味の良さを競い合っていたのです。他に匂い袋(西洋のポプリを入れたサシェとは違い、香木やスパイスのようなものが入っていた)も使われていました。身にまとうというのとは違いますが、香道といい、香りを鑑賞する芸道もあったほどです。


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しかし庶民がおしゃれに香りを用いはじめたのはもっとずっと後のことで、江戸時代にその記録が見られます。

 

江戸時代から広がり始めた庶民の香水文化

その頃の日本人は髪を結っていましたが、そのヘアセットには鬢付け油が使われていました。この油に良い香りのものを使っていたようです。その後も香油や化粧水に香りは用いられていたようですが、まだ香水は一般的ではありませんでした。

現在、我々が使っているような香水が日本で使われ始めたのは江戸時代末期からと言われています。それまで鎖国によって海外の文化を知ることができなかったのですが、ここに来てようやく舶来の化粧品が知られるようになりました。その後、明治に入ると国産の香水が製造されるようになりました。暮らしが洋風化するに従って香水は一般的に使われはじめていきます。

戦時中などおしゃれを満足にできなかった時代を超え、現在では海外に負けず劣らず多くの香水が開発されています。

 

優しい香りを好む日本人

また、文化や風土の関係上、国によって香水の好みは違います。傾向として、日本では爽やかスッキリした香りや、優しい香りが好まれる傾向にあります。これはおそらく日本人の清楚さを美徳とする美意識のせいではないかと思われます。また、日本は湿気が多いため、濃厚な香りや甘すぎたりくどすぎる香りはあまりうけが良くないようです。妖艶なオリエンタルノートより可愛らしいフローラルノートがより好まれているように思えます。ユニセックスな香りも日本ではよく売れているようですが、国によっては香水が男性用と女性用にきっちり分かれています。

 

歴史や文化によって好まれる香りは異なる

国によって好まれる傾向が違うのは面白いことですが、それもおそらくこれまでに培ってきた歴史文化のせいではないでしょうか。日本人の心の根底にある奥ゆかしさや、中世的なものに対する美意識が香りの好みにも現れているように私には思えてなりません。更に四季豊かなこの国だからこその香水選びも重要と唱えられています。暑い夏や湿気の多い梅雨時には爽やかなシトラス系を、と勧める専門家の言葉もよく聞きます。この国を愛し、この国の風土にあった香水の楽しみ方を身につけたいものです。

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