ヨーロッパで花開いた香水文化~ファッションとしての香水の歴史西洋編
今も昔も化粧品の一つとして重要な香水。一体いつから、どんな風に使われ始めたのでしょう。その歴史は複雑で、様々な文化が絡み合った末に生み出されたものとも言えます。香料は宗教的にも使われていましたが、ここではファッションとしての香水の歴史を紹介いたします。
ヨーロッパにおける香水の黎明期
最も古い香水の製造は紀元前のギリシアまでさかのぼります。当時の人々は入浴後に香油を使っていたようです。おしゃれとしての意味もありますが、病気の治療などにも効果があると考えられていたとのことです。
香料はやがてギリシャからローマに伝わります。ローマ人もまた、軟膏や香油を入浴などに使っていました。香料は当時の人々に渇望され、様々な香料が取引されていきます。この頃、ローマではローズウォーターがよく使われていたとの記録もあります。
その後、十字軍が遠征を行った際、東洋の香料がヨーロッパにもたらされました。珍しく、魅力溢れるこれらの香料は珍重され、商人達の手で取引されるようになります。また、12世紀には香水の起源の一つといわれるラベンダー水(香水の起源にはハンガリーウォーターも上げられているが)も製造されはじめます。
必然だったフランスの香水文化
十六世紀末にはとうとう現在の香水に近いものが作られ始めました。これらはカトリーヌ・ド・メディシスがフランスにお嫁に来たときもたらされたと言われています。彼女は香水だけでなくイタリアの様々な文化をフランスに持ち込み、花開かせた立役者でもあります。また、18世紀後半のナポレオン遠征によりパリにオーデコロンがもたらされました。十字軍のときといい、文化が国を超えるとき、そこに戦いがあるのは少し悲しいことではあります。中世では現在と違い入浴の習慣がありませんでした(特に中世のヨーロッパ)。この時代、お風呂に入ると体の具合が悪くなると信じられており、人々は垢を溜めることでわが身を守っていたといわれています。香水が発展した影にはこのような事情もありました。
合成香料の登場で香水も新たな時代に
19世紀には合成香料が作られます。これにより、天然の香料だけでは表現出来なかった複雑な香水の調合が可能になりました。
現在は数多くの化粧品会社から次々に魅力的な香水が発表されています。人間の文明とともに発展してきた香水や香料。紐解いて行けば、その歴史はほとんど文明とともにあるのではないかと思うほどです。思えば動物達生き物はフェロモンなどの香りをコミュニケーションに使います。私たちが生き物である以上、心地よい香りを求めるのは当然のことと言えるのかもしれません。