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香水にまつわるエピソード:ジャン・クロード・エレナがエルメスで開いた地平



香水

 

ジャン・クロード・エレナは日本でも絶大な人気を誇るパフューマーの一人で、一説ではエルメスの専属調香師に2004年より就任して以来、香水の売上を三倍に跳ね上げたとまで言われています。

最初に作り上げられたのはロカバール。
その男性的でモダンな香りに当時の男性はこぞって求め、女性はその香りに酔いしれました。

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地中海のイメージの香水?

その他にも「庭シリーズ」と呼ばれる、ナイルの庭や地中海の庭などを創作していきます。
爽やかで南北に突き抜けるナイル川の水しぶき、その緩やかな川の流れを香りで表現した、ナイルの庭はエルメスのメンズラインで定番化している香りです。
また、地中海の庭においては、「地中海」という欧州的な印象から、アフリカ大陸から見た「地中海」に変化させていきました。チュニジア周辺を思わせるイチジクの香りや、ベルガモット、オレンジフラワーなど、われわれ日本人が考える地中海のイメージを転換させた香水でした。

 

 

男性の魅力を余すところ無く表現したテール・ド・エルメス

そして、私が彼の作品の中で愛してやまないのが、テール・ド・エルメスです。
2006年に発売されて、今なお愛される男性的なダンディさの表現形でしょう。トップではグレープフルーツの爽やかさや火打ち石のアクセントが鼻を刺激し、だんだんと男性的なスパイシーさを漂わせるパチュリやペッパーの香りが官能さを漂わせ、ラストはエレナの十八番とも言えるウッディーテイストでキュッと締めてくれます。
クールさと温かみが両立することを、香りで表現した、庭シリーズと並ぶエルメスの顔になっています。テール・ド・エルメスは、発売からすぐに売上げトップの座をほしいままにしたこともあり、その名の通り「エルメスの大地」を築いた、「エルメスの地平」を新たに開拓した開拓使のように、私は思うのです。

 

 

香水は贅沢??贅沢の定義とは?

彼は彼の書籍の中で「好きなのは、喜びをわかちあうことです。私にとって、それが贅沢の定義です」と言う。
それはまさに贅沢品としての香水のあり方を表現した良い文章でしょう。
場を共有する、そしてその場の香りを共有する。素敵で、思わずうっとりしてしまったり、笑みがこぼれるような香りを求めて彼は調香しているのではないでしょうか。
言葉を交わせば「認知」はできる、だが、「理解」とは言葉の外にあるのではないか、という哲学的な主題までを感じさせます。また、言葉でなく背中で語るような父親的な男性像も想起するのではないでしょうか。

バッグなど、ファッションブランドとしてのイメージが世間的になりすぎたエルメス。その香水の歴史は古くとも名香は少なかったのではないでしょうか。これから続く100年に彼の創作した香りが続くことは彼だけでなく、彼の香水ファンも願い続けることでしょう。

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この記事は当ブログのライター「ペングー」が書きました。

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